by yamada-07
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気分のよくなる小説を読みたい方に

今日ご紹介するものはこちら、小説家・伊坂幸太郎さんです。

昨日(だったのかな)発売の新刊「死神の精度」を読み終わったばっかりで興奮しています。
いや、興奮というよりは、心沸き立つ、という表現のほうがしっくりくる感じでしょうか。とにかく気分がふわふわしてやみません。

彼のこれまで書いてきた作品に共通しているのが、圧倒的とすら表現できる読後の爽快感。一冊読み終わった後には、一様に笑顔がこみ上げてきてしまいます。
しかも、その笑顔・心情の類は、他ではめったに経験できないものです。世界のパーツがきれいに収束した満足感とでも言いましょうか、心のかくばりがまろやかに溶けてしまうような感覚です。

単行本として発行されているのがトータルで八冊。その中には、決して明るい一辺倒ではない作品もあります。母親がレイプされたことにより生まれた弟だとか、浅薄な若者たちにより殺された(と言ってもかまわないような状況の)恋人(あるいは妻)のための復讐だとか、重々しいテーマも混じっています。
しかし、そんな読後に気分が沈みかねないようなテーマでも、その終幕の収束のさせ方、そしてそれまでにちりばめられてきた伏線により、暗い中にも明かりがさっと投げかけていられるようにエンディングを迎えます。

読後感を別の言葉で喩えるなら、「穏やかな日曜の午後」です。特に「チルドレン」は、まさにそれがぴったりくる作品です。主人公(なのかな、たぶん)の一番最後の台詞で、作品の全てが「ほっこり」と終わるようです。湧き上がってくる幸福感とにやけ笑いを意識せずにはいられないような。私は、生まれてこの方これ以上幸せな読後感を味わったことがありません。

そして、新刊「死神の精度」の中の第四章「恋愛で死神」。↑に倣って言うなら、私は生まれてこの方、人が死んだことにこれほど悩ましい気分になった話を読んだことがありません。そして同時に、小説でよかった、と真に思った話もありません。小説であるがゆえに、その完成度と結末に思わず、人死にがでたものであっても幸福感を感じてしまったことも。


ほっこりした気分になりたいなら「チルドレン」(これは例外的に人死にがでていない作品です)、合わせ絵のような、パズルのような読後の解決感、納得感を味わいたいなら「ラッシュ・ライフ」、軽妙洒脱な文章を味わいたいなら「陽気なギャングが地球を回す」がお薦めです。

どうぞ、興味の向いた方は読んでみてください。
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by yamada-07 | 2005-06-29 22:30 | 青春の一ページ