by yamada-07
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メメント・モリ

最近読む漫画がずいぶんと減っています。購読しているものとなるとさらに減ります。
具体的には「HUNTER×HUNTER」、「王様の仕立て屋」、「アイシールド21」、「BLEACH」、「ヘルシング」くらいなものです。集英社の割合が非常に高いですね。

実はもう一作品あるのですが、それも今日最終巻を買ってきてしまいました。その作品こそ今日ご紹介するもの。それは「死刑囚042」です。
例に漏れず、この漫画も集英社からの作品で、作者は小手川ゆあさん。他にも「おっとり捜査」や「アルカナ」などの著作があります。

んで、今回のこのシリーズ。
設定はかなりとっぴなもので、「死刑制度の廃止を検討している政府は、ある実験を開始した。死刑囚042号=田嶋良平は脳の破壊活動を司る部位にチップを埋め込まれ、とある公立高校へ派遣される。彼の興奮が殺人を犯すほどに達すると、チップは爆発し脳を破壊するのだ。人間の生と死を問う衝撃作」(アマゾンのレビューより抜粋)てなものです。

全五巻を読み終わった私にしてみると、「生と死」を問うのではなく「死ありきの生」を問うているように思えます。

主人公は↑にある通り、元死刑囚。元、といっても他人に寿命を決められる状況から逃れたわけでなく、よりいっそう手綱を強く握られた形になっています。脳内に爆弾チップですからね。何らかの誤作動が起これば、それだけで死んでしまう。むしろ、ただの死刑囚より状況は危ういとも言えます。

自分の死が他人に握られている状況。そして彼自身、死刑を免れても刑が減じられたわけではないので、あくまで生活環境は死刑のない死刑囚。決して通常人と同じ生活が送れるわけではありません。
日常に死が転がっているという意味では、一般人もこの主人公の彼も変わりはありませんが、この彼はそれを常に意識せざるをえないのです。

この「死を常に意識せざるをえない生」、「終りがいつになるかわからないことを常に思い知らされる生」を主人公は生きています。

私たちは、日常生活を送っているときに「明日突然死んだらどうしよう」ということを切実に考えることはまずありません。明日、太陽が東から昇るのと同じように、自分の生は続いていくと思っています。
しかし、永久にそれが続くことはもちろんありません。神ならぬ人間、いつかは必ず死にます。明日車に轢かれるかもしれないし、一週間後に通り魔に刺されるかもしれないし、一年後に心臓発作で倒れるかもしれないし、十年後に自殺をするかもしれないし、70年後に天寿を全うするかもしれない。
人は必ず死ぬ。でも人はそれを常に意識することはない。

ならば、そうでない人とはどのように生きるのか。
この漫画はそのようなテーマを持っていると思います。作者の意図するしないと関わらず。

設定はとっぴ。でも、そのとっぴさをカバーするだけのストーリーテリングと、心理描写は存在します。脇役のキャラも立ってます。人物描写もかわいいです。最終話、泣けます。
上の理屈はあくまで理屈。この漫画は面白いです。面白くて考えさせられます。その上で泣けます。

気が向いた方、書店で手にとってみてはどうでしょう。
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by yamada-07 | 2005-07-05 01:21 | 青春の一ページ