by yamada-07
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妖怪譚 その二 ~近代利器に潜む影

どうも、堀江氏が捕まった事には特に思うところはありませんが、お金にしか執着できない人間はやっぱりさもしいものだよなぁなどと思う今日この頃の山田です、こんばんわ。

今回も、再び私の妖怪遭遇夜話兼与太話を繰り広げさせていただきます。めくるめくスリルとオカルトと噴飯もののくだらなさに戦く準備はいいですか?

あ、まだですか。

……

いいですか?では始めます。


私が二回目に妖怪に遭遇したのは大学一年生の秋、場所はやはりあの呪われた家、M家でした。
当時私とMは同じサークルに所属しており、Mの家が大学から近かったこともって、練習の後などよく泊りがけで遊びに行っていました。夜に男二人が集まったところでなにか華やかな遊びがあるわけでなく、ゲームをしたり、インターネットでくだらないページを見たり、漫画を読みふけったり、銭金を見たり、サークルの未来について真剣な討論をして、「あのサークルが潰れれば世の中に平和は訪れるよね」と結論を下したりしていました。
まあ何を題材にしていようと、口から生まれてきたような人間が二人集まれば話はとどまることを知らず、平気で深夜二時三時まで口角泡を飛ばしてくだらないことで笑い転げていたのです。
それだけのバカなテンションをアルコールの力を借りずにやっていたかと思うと、なかなかにすばらしい底力だと思います。
もういい加減寝ようかと電気を消したところでバカ話はおさまることもなく、真っ暗な部屋の中で男二人の笑い声が響き渡るという、むしろ客観的にそっちの方がよっぽど怪談じみている状況などもしばしばありました。しかし、そのようなおぞましい状況が、今思えばあの妖怪を引き寄せてしまったのでしょうか。

ある秋の夜更け、時間は深夜の一時をまわっていたでしょうか、私とMの会話もひとまず小康状態となり、この期を逃すなとばかりに布団を敷き、電気を消して横になりました。しかし、それは第二ラウンドのゴングにすぎません。再び白熱する場外乱闘トーク。うなりをあげるマシンガントーク、炸裂する笑い声、阿鼻叫喚の地獄絵図もさながらの、血みどろの泥仕合です。しかし、そんな戦いも30分もすればお互いの体力も底をつきだし、どちらからともなく口数が減り始めます。肩で息をするほどにお互い疲れ、「……寝るか」とMの方から停戦の申し出がなされました。私もそれに首肯し、今まで時間を確認するために開いておいた携帯をMが閉じようとしたまさにそのとき、

「やあ」

非常に明瞭な声が携帯の方から聞こえてきました。
ん?と不審に思い、Mの方を見やる私。おそらく私と全く同じ表情を浮かべて私の方を見やるM。

「……聞こえた?」
問うM。

「そっちが出した声じゃないの?」
問う私。

次の瞬間、Mは携帯を放り投げていました。

そう、まさにその瞬間、私たちは携帯の精に遭遇したのです!


え、なんですか?

携帯の精ですよ、ほら、例の。

あら、ご存知ない。

「携帯の精;八百万の神の国、日本では、現代文明の産物、携帯電話にも精霊が宿っている。非常に礼儀正しい精霊で、我々人間にもとてもフレンドリーに接してくれるが、存在をアピールするタイミングをしばしば誤ることのある、少々間の悪い精霊である。人間の生活には毒にも薬にもならない。」

出典:民明書房「現代に生きる妖怪たち」

ね?

携帯の精の声はとてもダンディでしたが、なにぶんその声を出したのが我々が寝ようと思い携帯を閉じようとしたその瞬間。いくらそれまでこちらの声がうるさくて存在をアピールするチャンスがなかったとはいえ、そんなタイミングで声を出されては腰を抜かさざるを得ません。もうちょっとタイミングを見計らってほしいものです。

今M君は実家に戻っていて、あの部屋は半年以上も前に引き払っています。大学・駅近く、築五年以内の良物件ですから、きっと新たな入居者がいることでしょう。その憐れな住人たちがあの呪われた妖怪屋敷でどんな恐ろしい夜を体験しているか、私には想像することすらできません……


以上、妖怪譚その二でした。お代は見てのお帰りでよろしく。
次回が最終回、「妖怪譚その三 ~日常の隣にいる異界の住人」です。
私の気が向くその日まで、しばしのお別れを。
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by yamada-07 | 2006-01-28 02:08 | 駄文